「1万ビットコインでピザを買った人がいる」
少し前になりますが、5月22日、仮想通貨の世界ではビットコインピザデーが祝われていました。
毎年この日になると、SNSやニュースサイトがあの伝説の取引を一斉に取り上げます。
この取引は、ビットコインがインターネット上の実験から実際に使えるお金として意識される象徴的な瞬間でした。
今回は、16年前のあの日に何が起きたのか。
そしてピザ2枚が、なぜ今や約1,220億円の話になっているのかを振り返ります。
その日、フロリダで何が起きたのか
2010年5月18日。
アメリカ・フロリダ州に住むプログラマー、ラズロ・ハニエツは、とある掲示板(BitcoinTalkフォーラム)にこんな投稿をしました。
「10,000ビットコインでピザを2枚買いたい。誰かやってくれる人いない?」
当時のビットコインは、ごく一部のプログラマーやサイバーパンク思想の愛好家だけが知っている、マイナーな実験的通貨でした。
取引所もなく、公式な価格すら存在しない時代です。
10,000BTC、当時の価値にして約41ドル。
ラズロ自身、ビットコインがどれだけ価値を持つかを深く理解したうえでこの取引を提案したと言われています。
「ビットコインで実際にモノが買えた、という事実を作りたかった」
それが彼の動機として広く紹介されています。
4日後の5月22日、一人の若者がこの提案に応じることに。
1万BTCを受け取ったもう一人の主役
ラズロの投稿に返答したのは、当時19歳のジェレミー・スタードゥイヴァントという青年でした。
カリフォルニア在住の彼は、フロリダのラズロに代わってパパジョンズのピザを2枚注文し、10,000BTCを受け取りました。
ビットコイン史上初の実物との取引が成立した瞬間です。
ジェレミーはその後、受け取った10,000BTCをすぐに使い切ってしまったと言われています。
当時はゲームのポイントみたいなものという感覚だったのかもしれません。
2026年のピザデーに際して、Bitcoin Magazineがこんな内容をSNSに投稿していました。
ピザを受け取った側のラズロだけでなく、ピザを届けたジェレミーにも改めて注目が。
こんなに大きな話になるとは思っていなかったという趣旨のコメントが紹介されていました。
二人とも、まさかこの取引が16年後もなお世界中で語り継がれる歴史になるとは、思っていなかったはずです。
あの10,000BTCは今いくら?16年間の値動きを振り返る
では、あの日のピザ代・10,000BTCは、その後どうなったのでしょうか。
年を追って振り返ってみます。
| 年 | BTCの価格(1枚あたり) | 10,000BTCの価値 |
|---|---|---|
| 2010年(取引当時) | 約0.0041ドル | 約41ドル |
| 2013年 | 約1,000ドル | 約1,000万ドル |
| 2017年(最高値付近) | 約20,000ドル | 約2億ドル |
| 2021年(最高値付近) | 約68,000ドル | 約6.8億ドル |
| 2024年(5月ごろ) | 約67,000ドル前後 | 約6.7億ドル |
| 2026年(ピザデー時点) | 約77,400ドル | 約7.74億ドル |
※各年のBTC価格をもとに算出。
2026年5月22日時点(1BTC≒77,400ドル)では、1ドル=158円換算で約1,220億円相当。
41ドルが約1,220億円。数字にすると頭がくらくらしますが、これはフィクションでも誇張でもありません。
ちなみに今年のピザデーは、昨年比で約328億円分下落しての迎え方になりました。
BTCの価格が2025年と比べてやや下がっている影響です。
それでも1,000億円を超える数字の重さは変わりません。
ラズロは後悔しているのか?
「後悔してないの?」
これは世界中の人がラズロに聞き続けてきた質問です。
彼の答えは一貫しています。
「後悔していない。あの取引がなければ、ビットコインはただのデータのまま終わっていたかもしれない」
実はここに、とても大切な視点があります。
ラズロはビットコインの仕組みを誰よりもよく知っていました。
発行枚数が上限2,100万枚に決まっていること、マイニングの報酬が4年ごとに半減すること、つまりビットコインが希少性を持って設計されていることを。
それでも彼がピザと交換したのは、使われないお金に価値はないという信念があったからだと言われています。
価値とは、誰かがこれで何かを買うと決めた瞬間に生まれる。
ラズロの41ドルのピザ注文は、ビットコインに初めて価格を与えた行為でした。
今日の兆円規模の市場は、あの取引の上に積み上がっているとも言えます。
ピザデーが持つ本当の意味
毎年5月22日になると、仮想通貨コミュニティは世界中でピザデーを祝います。
取引所がセールを開催し、世界各地でピザパーティーが開かれ、コミュニティが一体となって盛り上がる。
そんな光景が2026年の今では当たり前になっています。
使った人がいたから、価値が生まれた。
ラズロの10,000BTCが示したのは、ビットコインの将来性ではなくこれで本当にモノが買えるという今でした。
その積み重ねが、16年後の今日につながっているんですね。
まとめ
仮想通貨の世界は、数字や技術の話になりがちです。
でもその出発点は、フロリダのプログラマーがピザが食べたいとフォーラムに書いた、ごく普通の一言でした。
最初の一歩は、いつだって小さいものです。
実は、私自身もブログを書こうと思ったきっかけはほんの些細なことです。
SNSでなんとなく仮想通貨の情報を目にして、なんとなく気になって、興味と期待からBTCを買ってみた。
それだけのことでした。
でもその小さな一歩がちゃんと理解したいという気持ちに変わって、気づいたらこうしてブログを書いています。
同じようになんとなく気になったという人に、仮想通貨の世界をとにかくわかりやすく知ってもらえたら。
そのきっかけのひとつにこのブログがなれたら、それ以上のことはありません。
大きな確信がなくても、なんか面白そう!の一歩が意外と何かを変えてくれるものですね。
